アロエ栽培法
アロエ栽培の基本
アロエは、もともとアフリカが原産地ですから、乾燥や熱さにはかなり強く、寒さと湿気には弱い植物ですが、キダチアロエは比較的寒さに強く、日本でも暖かな地方では外で充分に越冬が可能です。
栽培の第一歩は「苗」の入手です。最近は園芸店にアロエの苗が鉢植えで売られていますからこれを購入しても良いですし、アロエを栽培している人から株を分けてもらっても良いでしょう。
露地育ちのアロエ |
外で栽培され日光を充分に浴びたアロエは、色は少し白っぽくなりますが葉間が短く葉も厚く茎も太めになります。
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温室(室内)育ちのアロエ |
温室育ちのアロエの苗は、色は奇麗ですが葉間が延び、茎も細く全体に華奢(きゃしゃ)な感じがします。
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苗としては温室育ちのほうが育てやすいと思います。
またひこばえを取って少し乾燥させて苗として使うことも可能です。どれも20~30cmに育ったものが良いでしょう。
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ひこばえ(切った根や株から生えた芽)写真で見ると、本体から分かれて生えている(白矢印)アロエのことです。 |
栽培を始める時期ですが、一番入り易いのはアロエの成長期である春から(4月~5月)になります。定植する場所は、水はけが良く日当たりが良く北風が当たらない所が理想です。鉢植えの場合は移動が可能ですから、やや大きめの鉢に水はけの良い用土を入れ苗を植え込みます。用土は特に決められていませんが、排水性、通気性を考えて赤玉、腐葉土、川砂、ピートモス等を選用します。またサボテン培養土と赤玉とを半々に合わせた物も利用されているようです。鉢植えの場合は1年に1回の植え替えが必要です。植え替えの際は、一回り大きな鉢に替えてください。
定植 |
始める時期 |
4月~5月 |
植える場所
置く場所
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水はけがよく、日当たりのいいところ。
北風が当たらないところ
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土 |
赤玉、腐葉土、川砂、ピートモス等。
サボテン培養土と赤玉を半々に合わせた物。
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植え替え等 |
基本的にそのまま |
鉢植え(大きめの鉢に) |
始める時期 |
4月~5月 |
植える場所
置く場所
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水はけをよくし、日当たりのいいところに置く。
外に置く場合は、北風が当たらないところに置く
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土 |
赤玉、腐葉土、川砂、ピートモス等。
サボテン培養土と赤玉を半々に合わせた物。
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植え替え等 |
1年に1回の植え替え |
鉢への植え方
- 1. 大き目の鉢を用意して底穴を網と鉢のかけら等で塞ぎます。
- 2. ごろ土を鉢の深さの1/4位まで入れてから用土を少しいれます 。
- 3. 苗の根を広げて鉢に入れます。
- 4. 用土を根元まで入れ、割り箸などで根の間に静かに詰めます。
- 5. 苗が倒れないように更に用土を入れ、鉢のふちから2cm位低めに入れます。鉢を地面にトントンと当てて苗を安定させます。鉢穴から水が出るまで潅水します。
肥料の与え方
腐葉土の配合されている用土を使用していれば、特別心配する事はありません。養分のある土を配合して無い場合は油かす、鶏ふん、堆肥等の有機肥料を元肥として施したほうが良いでしょう。観賞用は別にして、食べたり飲んだりするためのアロエならば化学肥料はさけるべきです。
水のやり方
アロエは水が不足して枯らしてしまうことはほとんど有りません。
春の水やり
鉢や露地に移してから八重桜の開花を基準に水やりを始めます。
晴れの日5日につき1回の水やりが目安です。雨や曇りの日があれば、期間を延ばすか水の量を少なくして調整してください。露地ものは鉢植えより少なめで充分です。
10月、11月も同じように水やりをして下さい。
夏の水やり(梅雨明けごろ~)
日が落ちてから水やりをします。朝水をやると、土中の水分が強い日照りによって熱湯状態になり、根を傷めてしまいます。
また葉の上から水やりをすると、葉と茎の間に溜まった水が同様に熱湯状態になってアロエを傷めます。
冬の水やり
全体に乾燥ぎみに育てるのがポイントです。冬期は休眠中ですからほとんど水は要りません。1週間に1回表土が湿る程度の水やりで充分です。
冬越しの注意点
アロエの原産地はアフリカで高温・乾燥の気候ですから、その反対の寒冷・多湿は苦手です。アフリカでは雨の降る期間が短いので、葉にたくさんの水分を蓄える機能を持った植物が生育しています。アロエも勿論多肉植物で、葉先まで十分な水分を貯蓄しています。実は、この水分が寒さに弱い原因となっています。
気温が0度以下になると水は凍ります。よってアロエの中の水分も凍ってしまいます。このときアロエの細胞は体積を増やした氷に破壊されてしまい、溶けるように枯れてしまうのです。注意点は唯一、霜や雪、氷点下の気温にさらされないように注意するだけです。
暖かな伊豆でも冬はアロエにわらをかけて霜や寒さから守っています。
温室による越冬法
越冬のための作業は、霜の降りる前に行う事が必要です。最も安全なのは、温室や大型フレーム等を利用した越冬法です。加温装置がついていれば最高です。越冬だけではなく生育させることも可能です。ただ、それなりのスペースと費用が必要になるため、理想的ではあっても一般的では有りません。
露地栽培の場合の越冬法
比較的暖かい地方で露地に植えられている場合は、アロエ全体に寒冷紗(かんれいしゃ)を掛けておくのが一番良いようです。支柱を立て寒冷紗を全体にかぶせて、風に飛ばされないように四隅を止めておくだけです。ビニールを使うこともありますが、通気性の点で寒冷紗のほうが優れています。寒い地方では四方に板、発泡スチロールなどで風除けを造り、根元に藁や枯葉などを厚めに敷き詰めビニールの天井を張ります。気温の高い日には天井をはずして外気を当てることが必要ですから、開閉できるようにしてください。
鉢植えの場合の越冬法
鉢植えの場合は簡単に移動ができますから、室内の日当たりの良い所に置き換えます。できれば、晴天の日中は外に出して外気にさらします。雨や気温の低い日(0℃以下)は外には出しません。もちろん、夜間は室内に置きます。水やりは、越冬中の水やりはほとんど断水に近い状態で良く、表土が乾いてから更に数日たった晴天の午前中に与えるだけで充分です。潅水は葉先が枯れない程度にします。夜間は蛍光灯などの明かりが当たらず、温度が下がりすぎない所を選んで置いて下さい。(同化作用などに悪影響がでることがあります。)
乾燥させての越冬法
乾燥に強いアロエならではの簡単な越冬法があります。株を土(鉢)からあげて土を良く払い落とします。これをまるごと紙袋に入れて、風通しがよくて凍りつかない所に吊り下げて置きます。春になったら土におろして育てます。また、根から切り離した株だけを同じ方法で逆さに吊るして越冬させる事もできます。株の切り口は乾燥し、葉も細く柔らかくなりますが、ますが、春に土におろせば、根を出し立派に生育させる事ができます。
花の咲かせ方・株の増やし方
花の咲かせ方
キダチアロエは花が咲かないものと思っていたり、雌雄別株で雄株が多いためあまり花が見れないと考えている人も居るようですが、キダチアロエは冬に朱色の立派な花を咲かせます。12月始めごろに、葉と葉の間から花茎をのばし草丈よりもさらに高くなり、つぼみをつけます。花穂も30cm以上にもなり、下から順に、あざやかな朱色の筒状花を咲かせ続けます。花期も長く2月いっぱい楽しめます。花の少ない時期ですから装飾用にも使われます。伊豆半島の白浜では、この時期アロエの花が満開でアロエ祭りが行われています。原産地では、アロエの花は蜜を持って甘く、子供のおやつになっています。日本でもお菓子に利用されているようです。
花を咲かせるための5つの条件 |
ある程度の大きさがあること。
(茎の太さ2.5cm以上、株の高さ50cm以上。理想的に育てられた物であれば茎が2cm以上、株が30cm以上でも開花は可能です。)
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チッソ肥料以外にカリウム、リン酸も与えること。 |
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1日中日光によく当てること。 |
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夏季、気温が30℃以上になるころから40~50日間水を与えないこと。
(雨にも当てないようにする。シャコバサボテン等と同じ)
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冬には寒さを防いでやること。
(紙袋やビニールで防ぐ)
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※咲き終わった花茎は基から切り取ることも忘れずに。
株の増やし方
株を増やすのは比較的簡単で、適期は4月~9月の間です。
1. 挿し芽による増やし方 |
親株の根元や幹に出た芽のうち、15cm~20cmに伸びた芽を切り取って切り口が乾燥するのを待ちます。1週間ほど乾燥した芽を土に下ろし、支柱を立てて苗が倒れるのを防ぎます。小さな芽は親株につけておいたほうが効率よく育てることができます。
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2. 株分けによる増やし方 |
最も確実な方法で、親株の根から出た子株を分けて植えます。まず、親株ごと土から上げて根まで丁寧に分け、子株がつながっている部分を切り離します。親株はそのまま土に戻し、子株は切り口を乾燥させてから土や鉢に下ろします。
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3. 挿し木による増やし方 |
アロエの葉を茎の下のほうから順に使ってしまって、根から葉までの間隔が開きすぎてしまうことがあります。こんな時は株元と株先とを切り分けます。株先は苗として使います。切り口が乾燥してから植えて下さい。株元はそのままにしておくと沢山のひこばえが出てきます。ひこばえが適当な大きさになったら、1、2と同様の方法で苗として利用します。
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